エディブルフラワーを愛でる、食す
2月14日は、フィンランドではバレンタインデーではなく、Ystävänpäivä(友達の日)だった。それも近年にはじまったばかりらしい。
近所のスーパーで珍しくエディブルフラワーを見かけて、一足早い春を感じ思わず手にとった。
ガトーショコラを焼いたので、雪のように真っ白なクリームの上に、薄紫や黄色や白など色とりどりのパンジーやヴィオラを飾った。子供の頃、野原で花を摘んだり、花の蜜を吸ったりしたことを思い出す。ケーキと一緒にこのまま食べてしまえるというのが、なんともまたロマンチックなのだ。これを前から一度やってみたかった。
エディブルフラワーは、そのままだとすぐに萎れてしまうので、保存方法を探してみると、シュガーコーティングという方法があることを知った。
一枚づつ慎重に花びらをピンセットで摘み、表と裏に卵白を刷毛でさっと塗り、すり鉢で擦ってさらにきめ細かくした粉雪みたいなグラニュー糖を、パラパラと振りかける。遠い昔のおままごとをしていた頃に戻ったようで、わくわくする。
乾燥させたら、砂糖がわりに紅茶に浮かべたりしても素敵なのだ。こういうのって幾つになっても、少女趣味と言われようと、夢見るようにうっとりした気持ちになる。
まだ10代の終わりか20代の始めに名画座で観て好きだった「ピクニック at ハンギングロック」という70年代の古い映画は、1900年代の女の子だけの寄宿学校が舞台で、朝起きると、たらいにたくさんの花を生けた水で顔を洗うというシーンがあって、その優雅さにうっとりしたことを、今でも覚えている。
事件はちょうど2月14日の聖バレンタインデーに起きる。岩山にピクニックに行った何人かの女の子と教師が、神隠しにあったように忽然と姿を消し行方不明になるというもので、ヴィクトリア時代の白いレースや花に囲まれた女の子だけの世界は儚く美しく、そして恐ろしくもあるストーリーなのだった。
女子校出身者としては、女子同士の残酷さとか、複雑さとかもいろいろ含めて、ちょっと惹きこまれる世界だった。実際の私の女子校生活は全く優雅でもなんでもなくて、当時に戻れと言われても今さら嫌だけど(笑
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