春の日に想うこと
先日、縁あって知り合った方が作られた絵本が、日本から届きました。
「少年とカモメ」 すぎうら ひろあき 作
僕は毎日、浜に出る。
もしかしたら、お母さんに、会えるかもしれないと思って。
もちろんお母さんはいるはずもなく、
青い海と、白い砂浜、そして、たくさんのカモメたちがいるだけ。
そんな日が、幾日も続いたある日、
一羽のカモメが僕のところにやってきた。
真っ白くてふわふわの、優しそうな眼をした、一羽のカモメが。
震災でお母さんを失った少年の悲しみに、共鳴するようにしてうまれた絵本です。
読んでいると少年と自分の息子の姿が重なってしまい、ついついお母さんの視点になって涙がこみあげてきてしまいます。
日々の暮らしの中では、平穏な日常がずっと続いてゆくかのように思えるけれど、津波や地震のような天災、原発事故のような人災など、想像もしなかったような事がある日突然、どのようなかたちで自分の身に降りかかるかわからない、それは誰の身にも起こりえることなのだから、そのことを忘れてはいけないと、改めて思いました。
「忘れる」というのは、心を亡くすと書くのですね。 作者の方からの言葉が深く心に残っています。
物語は悲しみの中で、それでも前を見て生きてゆく力のようなものを感じさせて終わります。
家のすぐ目の前にある海辺へ行ってみると、2羽の白鳥が交互に顔を海面に潜らせて、せっせと餌をとって食べている姿がありました。
そう遠くない将来、巣立ってゆくであろう冬馬との一瞬一瞬、今という時間をもっと大切にしなければと思いました。
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