クリスマスの幸せな記憶
しんあいなる ちいさな おともだちへ
わたしのことを おぼえていてくれて どうもありがとう。
ひしょの こびとくんたちは わたしが みなさんに へんじをかくのを てつだってくれています。
クリスマスに わたしは となかいの そりにのって みなみのほうへ でかけます。
-中略-
そして みなさんが げんきで たのしく すごしているのを みれたら たいへん しあわせです。
せかいじゅうの こどもたちに へいわと ゆうじょうが ありますように。
クリスマスおめでとう
サンタ・クロース
わたしのすまいの コルヴァトントリ山は このてがみの えのなかで ゆびさしてありますから
あなたにも わかると おもいます。
5歳のクリスマスに届いたサンタクロースからの手紙は、何十年もの時を経ても奇跡的にまだ私の手元に残っている。
他にも、色とりどりの薄いセロファンが、透かし絵の裏に何枚も重ね合わせてあり、月毎にめくる度に色が変わってゆく、ムーミンのカレンダーをもらった事。それは子供心にも息をのむほど繊細で、美しいと感じたことを、今でも鮮明に覚えている。
その頃は、フィンランドという国やラップランドが、何処にあるのかなど全く知るはずもなく、親もとくに関心があった訳でもないので、それらがどういう経緯で届いたのか、今となっては分からない。
まさかそれから数十年後にそんな遠い国に住み、毎年のようにサンタクロース村のある街へ帰省するようになろうなどとは、昔の私が知ったら、飛び上がって驚くだろう…。
今年のクリスマスツリーは、手頃なサイズは売り切れで、天井に仕えるほど大きなツリー。ありったけのオーナメントを出してもまったく足りず、大急ぎで冬馬と一緒にジンジャーブレッドを焼いて飾りを足した。
クリスマスケーキはリースをイメージしたパブロバを作った。メレンゲが口の中でふわっと溶けて、オレンジの皮をすって入れたマスカルポーネと、ベリーやザクロの酸味が爽やかだった。
「今年のサンタクロースからのプレゼントは何がいいの?」と冬馬に聞くと、「…何もいらない。ほしいものが思いつかない。」という予想外の答えに、えーっっ!?と、うろたえる親…。
もうレゴでもほとんど遊ばないし、何をあげたらいいのか考えてしまったが、夫が提案した小さなロボットを作るキットと、私が薦めたQixelsという、水でくっつく小さなブロックを並べて、ドットのような半立体の絵が作れるキットをプレゼントしたら、ドット絵の方は意外にハマったらしく、もっと作りたいとブロックの追加をお願いされた。
それなのにサンタからは、また個別にプレゼントがもらえると思っているらしく、でも何がほしいのかわからないので、ヘルシンキに一軒しかない日本食料品店で、日本のお菓子を何個か買って袋に入れて、ツリーの下へ置いておいた。
日本で買う何倍もの値段のお菓子を、日頃こんなに沢山もらえる事はないので、わーい!と喜んでくれたけれど、冷静に「サンタはトーキョー館で買ったんだね!」と言われ、焦りまくる親…。
たぶんもう来年あたりでサンタクロースの正体はバレそう…。
それでも、そんな一つ一つの出来事が、子供時代の幸せな記憶として、少しでも残ってくれたらいいと願いながら、今年のクリスマスも過ぎていった。
